高齢者が安心して暮らせる介護施設づくりには、安全対策と業務効率の両立が欠かせません。その中でも近年注目を集めているのが、「見守りカメラ」の導入です。
転倒や体調急変といった万が一の事態に素早く対応できる体制を整えられるだけでなく、少人数体制でも職員の負担を軽減しながら、利用者一人ひとりに目が行き届く環境を実現できます。
しかし、見守りカメラの導入にはメリットだけでなく、プライバシーへの配慮や費用、適切な運用設計といった課題も伴います。
「どのカメラを選べばいいのか?」「トラブルを避けるには何に注意すべきか?」といった疑問を持つ担当者も多いのが現状です。
本記事では、介護施設における見守りカメラ導入の背景と役割を整理したうえで、導入のメリット・デメリット、選び方や注意点まで幅広く解説していきます。
初めての導入を検討されている方はもちろん、すでに他社製品をご利用中で見直しをお考えの方にも、ぜひご参考いただければ幸いです。
介護施設へ見守りカメラを導入するメリット
介護施設に見守りカメラを導入するメリットについて紹介していきます。
利用者の安全性の確保
見守りカメラは、万が一の際にも迅速に駆けつけることができるため、利用者を危険から守ります。特に夜間や目の届きにくい時間帯でも、異常を検知してアラートを送ることで、放置による事故を未然に防ぐことが可能です。また、カメラの存在が抑止力となり、利用者に対するハラスメント防止にもつながります。
スタッフの負担軽減
スタッフが常に全ての居室を巡回することは困難ですが、見守りカメラがあれば映像で状況を確認でき、無駄な訪室を減らせます。また、アラート通知機能により、徘徊や転倒といった異常行動をリアルタイムで把握でき、必要なタイミングで対応が可能です。さらに、万が一、ハラスメントなどの疑念が生じた場合でも、映像によって事実関係を客観的に確認できることは、スタッフにとって大きな安心につながります。
事故やトラブルの防止
見守りカメラの映像を日常的に確認しておくことで、危険な行動や場所を事前に把握することができます。また、事故が起きた際にも、録画映像を用いて原因分析ができるため、有効な再発防止策を講じることができます。
利用者ご家族の「安心感・信頼感」を得られる
離れて暮らす家族にとって、介護施設での様子は常に気になるものです。
見守りカメラを適切に運用していることを説明できれば、「きちんと見守ってくれている」と安心してもらいやすくなります。とくに万が一の事故発生時に、当時の状況を映像で具体的に説明できることで、ご家族に安心感を与え、施設への信頼につながります。
介護施設における見守りカメラの選び方
選び方のポイント
介護施設での見守りカメラ導入は、利用者の安全や職員の業務負担軽減に大きく貢献しますが、選び方を誤ると「費用がかかったのに現場で使いづらい…」「導入したものの使いこなせない」という結果にもなりかねません。ここでは、失敗しないための5つのチェックポイントをわかりやすく解説します。
コスト|初期費用と月額費用のバランスを確認
見守りカメラの導入にかかる費用は、製品によって大きく異なります。
- 従来型(HDD録画)は数万円から導入可能ですが、遠隔確認などの機能は限定的
- クラウド型やAI搭載型は初期費用に加え、月額の利用料(1台あたり数千円〜)がかかるが機能が充実している
導入時は「初期費用」だけでなく、「5年間運用した場合の総コスト」を比較して検討することが大切です。たとえば、初期費用が安いカメラでも、毎月のクラウド利用料やメンテナンス費、通信費などが積み重なると、数年後には高額になるケースがあります。
性能|録画の画質・保存期間・AI機能の有無を確認
製品によって、対応できる機能に差があります。
- 録画機能(解像度・保存期間・暗所撮影性能など)
- AI機能(転倒・徘徊・長時間不在の自動検知など)
- 通知機能(スマホ通知・アラートなど)
たとえば、夜間も鮮明に映る赤外線対応カメラや、AIによる自動通知機能があれば、職員の巡回負担を大きく減らすことができます。
現場の課題に対し、どの機能が「必須」で、どこまでが「あると便利」なのか整理したうえで選びましょう。
目的|「なぜ導入するのか?」を明確に
「映像を録画したい」のか、「異変をすぐに察知したい」のか。目的によって選ぶべきカメラのタイプは異なります。
目的 | 適したカメラのタイプ |
---|---|
転倒や徘徊の早期発見 | AI搭載型 |
事故時の記録確認が主な目的 | HDD型(従来型) |
離れた場所から日常的に様子を確認したい | クラウド型(スマホ閲覧対応) |
目的が曖昧なまま導入すると「思ったより使わない」という事態になりやすいため、まずは何を解決したいのかをチーム内で明確にすることが重要です。
インターネット環境|ネットが必要な機種も多い
近年主流のクラウド型やAI搭載型は、常時インターネット接続が必要です。Wi-Fi環境が不安定な施設では、録画や通知が途切れる恐れもあるため、次の点を事前に確認しましょう。
- 有線LAN・Wi-Fiの通信速度(目安:上り10Mbps以上)
- 通信の安定性(通信が途切れることがないか)
- 通信制限や帯域制限の有無(法人ネット回線が推奨)
もしネット環境に不安がある場合は、録画機能が本体に備わったローカル保存型や、ハイブリッド型を検討するのも有効です。
費用対効果・補助金の検討
見守りカメラは「設備投資」ではありますが、人的負担の削減や事故対応の迅速化によって、結果的にコスト削減につながるケースも少なくありません。
- 介護ロボット導入支援事業(都道府県・市区町村)
- ICT導入支援補助金(厚生労働省)
- 地域医療介護総合確保基金 等
導入を検討するタイミングで、最新の補助金情報を確認し、活用できる制度がないか調べておくことをおすすめします。
見守りカメラの種類
介護施設に適したカメラは、従来型、クラウド型、AI搭載型の主に3種類です。それぞれ詳しく解説していきます。
HDD型(従来型)カメラとは?
HDD型の見守りカメラは、施設内に設置した録画機器(HDDレコーダー)に映像を保存するタイプです。インターネット回線がなくても運用できるため、比較的導入がしやすく、初期費用を抑えたい施設に向いています。
HDD型カメラの特徴とメリット
このタイプのカメラは、設置した建物内で完結するシンプルな構成で、比較的導入コストが安価です。通信環境に依存しないため、ネットワーク障害などのトラブルを気にせず安定的に運用できます。また、月額利用料が発生しないケースが多く、ランニングコストを抑えたい施設には向いています。
注意すべきデメリット
一方で、映像を確認するには現地の録画装置にアクセスする必要があり、遠隔からリアルタイムに映像を見ることはできません。
また、HDDの容量不足や機器の故障といった物理的なトラブルが発生する可能性もあります。
「録画しているだけで、実際に見守りとしての活用が進まない」という課題に直面する施設もあります。
こんな施設におすすめ
・ネット回線が未整備な地域の小規模施設
・映像のリアルタイム監視ではなく、事故発生後の記録確認を主目的とする施設
・初期費用・月額費用を抑えて最低限の記録機能を確保したい施設
クラウド型カメラとは?
クラウド型の見守りカメラは、撮影した映像をインターネット経由でクラウドに保存し、PCやスマートフォンからいつでも閲覧できる仕組みを持っています。最近では、多くの介護施設がこのタイプを採用しています。
クラウド型カメラの特徴とメリット
この方式の最大の特徴は、どこからでもリアルタイムで映像を確認できることです。
夜間の遠隔見守りや、法人本部からの複数施設一括管理が可能になり、人手不足や情報共有の課題を大幅に改善できます。また、映像データがクラウド上に自動保存されるため、録画機器の物理的な故障や容量不足といった心配も少なく、災害時のデータ保全にも強みがあります。
デメリットと注意点
クラウド型はネット環境が必須であり、通信障害が発生した場合には一時的に映像が確認できなくなるリスクがあります。
また、クラウドサービスの使用料や通信費など、月額でのコストが発生する点も考慮が必要です。
こんな施設におすすめ
・法人本部で複数施設を一元管理したい営利法人や社会福祉法人、医療法人
・転倒・徘徊などのリスクが高く、リアルタイムで映像を確認したい施設
・スマホやPCで映像を素早く確認できる体制を整えたい施設
AI搭載型カメラとは?
AI搭載型の見守りカメラは、映像を撮影・記録するだけでなく、人の動きや行動をAIが解析し、異常を自動で検知・通知してくれる最先端の見守りシステムです。
近年では、転倒検知・徘徊アラート・不在時間の通知など、高度な機能を搭載した製品が増えています。
AI搭載型カメラの特徴とメリット
最大のメリットは、転倒や異常行動をAIがリアルタイムで検出し、即座に通知してくれることです。
これにより、スタッフがその場にいなくても異変にすぐ気づける体制を作ることができ、特に夜間の見守り負担軽減に大きな効果があります。また、AIが自動で映像を記録・分析してくれるため、スタッフがすべての映像を常時確認する必要がなく、業務の効率化にもつながります。
デメリットと注意点
AIの精度は設置環境や設定によって差があり、導入後もチューニングが必要になる場合があります。
また、AI搭載モデルは高性能である反面、初期費用や月額料金が高くなる傾向があります。ITに慣れていない現場では、運用開始までにしっかりとした説明やトレーニングが求められる点にも注意が必要です。
こんな施設におすすめ
・要介護度の高い入居者が多く、転倒や徘徊などのリスクが高い施設
・少人数夜勤で見守りに限界を感じている中・大規模施設
・ICTや介護DXを積極的に進めている法人
種類 | メリット | デメリット | おすすめの用途・施設 |
---|---|---|---|
従来型(HDD録画) | ・ネット不要で安定運用 ・ランニングコストが低い | ・遠隔確認不可 ・HDD故障や容量不足のリスク ・運用の自由度が低い | ・ネット環境がない施設 ・録画映像を頻繁に確認しない施設 |
クラウド型 | ・どこからでも映像確認可能 ・録画データの安全性が高い ・複数施設の一括管理が可能 | ・インターネットが必須 ・月額費用などランニングコストあり | ・複数拠点を管理する法人本部 ・転倒リスクの高い利用者が多い施設 |
AI搭載型 | ・異常時にリアルタイム通知 ・業務負担軽減 ・映像記録の精度が高い | ・初期費用が高め ・AI精度のチューニングが必要 | ・夜間の見守りが課題の施設 ・要介護度の高い利用者が多い施設 |
介護施設に見守りカメラを導入する際の注意点
プライバシーを侵害する恐れ
常時録画・監視される環境が利用者の心理的負担になる可能性があります。また、録画映像が第三者に不正に閲覧・漏洩するリスクもあるため、データ管理体制の強化が求められます。
職員・利用者・利用者家族への説明
カメラ導入前には、目的や使用方法、閲覧権限について利用者本人およびご家族に丁寧な説明を行い、同意を得ることが重要です。不安を解消することで信頼関係の維持につながります。
運用体制を整備する
導入後のトラブルを防ぐために、録画データの保存期間やアクセス権限を明確に定め、緊急時の対応フローを事前に整備しておく必要があります。運用ルールが曖昧なままだと、職員の運用負担や情報トラブルの元となる可能性があります。
見守りカメラの導入で介護現場に安心と効率を
介護施設における見守りカメラは、業務効率化・事故防止・スタッフの精神的サポートという観点からも有効です。製品選びでは、コストや性能だけでなく、現場の運用体制や通信環境、プライバシー保護にも配慮する必要があります。見守りカメラ「KaigoDX」は、設置の手軽さとAIによる高精度な見守りを両立しており、介護施設のICT化を力強くサポートします。まずはお気軽に資料請求・お問い合わせください。
介護現場に最適なクラウド型カメラのご紹介【2025年版】
近年、介護施設における見守りカメラの需要が高まる中で、注目を集めているのがAI搭載のクラウド型見守りカメラ「KaigoDX」です。
従来のHDD型カメラにはない多機能性と利便性を備え、現場の課題を確実にサポートします。
― 職員の負担を軽減し、利用者の安心を守る「KaigoDX」 ―
1. 低コストでの導入
1台あたり月額1,000円から利用可能で、初期費用を抑えたレンタルプランも提供されています。高額なセンサー機器の代替として、コストパフォーマンスに優れています。
2. 複数施設を一括で管理・見守り
法人内の複数施設をクラウド上で一元管理できるため、本部やエリアマネージャーによる運営監督がスムーズ。施設間での映像共有も可能です。
3. 映像&音声の自動保存と遠隔閲覧
常時録画された映像と音声はクラウドに保存され、事故やトラブル発生時の状況確認や報告書作成に活用できます。また、ハラスメントや虐待の抑止力としても効果的です。
4. 簡単な操作性・設置
Wi-Fi不要の有線接続で安定した通信が可能です。また、スマートフォンやPCから直感的に操作できる管理画面で、機械が苦手な方でも安心して利用できます。
5. AIによるリアルタイム検知と通知
転倒、離室、離設、侵入などの行動をAIが検知し、職員のデバイスに即時通知します。これにより、事故の早期発見と迅速な対応が可能となります。